初日(はつひ)新年

新年の季語 | HitchHaiku 歳時記

解説

初日は元日の朝日、すなわち「初日の出」を指す新年の季語である。俳句の季は春夏秋冬の四季に「新年」を加えた五季で立てられており、初日はその新年の部の代表格にあたる。一年でただ一度、昇る太陽そのものが祝意を帯びる朝である。

初日を詠む句は、荘厳さを正面から歌い上げるものばかりではない。むしろ元日というハレの日に紛れ込む日常——まだ白粉をつけていない隣の娘、正月と知らずに高い鼾、湛えられた朝の水——を写すことで、新年の光はいっそう鮮やかになる。めでたさと可笑しみが同居するのが、新年の句の身上である。

また「去年今年(こぞことし)」のように、大晦日から元日へと年が切り替わる時間そのものを捉えた季語もある。高浜虚子の「去年今年貫く棒の如きもの」は、年が改まっても貫き通る意志を詠んで、新年の句の金字塔となった。

傍題・関連季語

名句選

初日の出隣のむすめお白粉未だつけず

正岡子規 | 季語:初日(新年) | 松山

初空や烏は黒く富士白し

正岡子規 | 季語:初空(新年) | 黒と白の対比が鮮烈な元日の空

元日と知らぬ鼾の高さかな

正岡子規 | 季語:元日(新年) | 松山

去年今年 貫く棒の 如きもの

高浜虚子 | 季語:去年今年(新年) | 鎌倉。年の変わり目を貫く一本の意志

あすは元日が来る仏とわたくし

尾崎放哉 | 季語:元日(新年) | 小豆島・南郷庵。自由律

女と淋しい顔して温泉の村のお正月

尾崎放哉 | 季語:正月(新年) | 城崎温泉。自由律

霽れて元日の水がたたへていつぱい

種田山頭火 | 季語:元日(新年) | 讃岐・琴平。自由律

舫ひてここに正月の舳をならべ

種田山頭火 | 季語:正月(新年) | 讃岐。港の舟も年を迎える

詠み方のヒント

新年の句は「めでたい」と言った瞬間に型に落ちる。子規の初日の句が教えるのは、ハレの光の中に立つケの人間を写すこと。初日そのものは動かないが、それを見る人・見そこねる人・まだ寝ている人は無数にいる。自分だけの元日の一齣を探したい。

HitchHaiku では季節 BGM と季語辞書が新年モードに切り替わる。年の始めの一句を、名句エコーが古典と結んでくれる。

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