杉田久女1890–1946
すぎた・ひさじょ | 近代女性俳句の先駆。「花衣」「谺して」の華麗な句境
小伝
鹿児島市に生まれ、官吏の父に伴われ台湾・沖縄で育つ。画家を志す夫との結婚後、小倉に住み、家庭の中の閉塞と闘いながら「ホトトギス」で頭角を現した。「花衣ぬぐやまつはる紐いろいろ」は虚子選の巻頭を飾り、女性の身体感覚を俳句に持ち込んだ画期として名高い。
英彦山に何度も足を運んで得た「谺して山ほととぎすほしいまま」は、日本新名勝俳句の金賞に選ばれた代表作。豊かな教養と鋭い美意識、そして自負の強さは、しかし当時の俳壇と折り合わず、昭和十一年に「ホトトギス」同人を除名される。失意の晩年ののち、戦後まもなく没した。その後、句集の刊行とともに再評価が進み、いまでは近代女性俳句の先駆者として確固たる位置を占める。橋本多佳子ら後進への影響も大きい。
代表句
花衣ぬぐや まつはる 紐いろいろ
谺して 山ほととぎす ほしいまま
HitchHaiku で読む・倣う
久女の句は、暮らしの中の身体感覚が俳句になることを教えてくれる。着物を脱ぐ、山の声を聞く——日常の動作から始まる句作は、HitchHaiku がいちばん大切にしたい入口である。